大判例

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東京高等裁判所 昭和54年(行ケ)167号 判決

一 請求の原因一、二の事実は、当事者間に争いがない。

二 そこで、審決取消事由の有無について判断する。

1 まず、本願商標と引用A商標との称呼上の類否について検討する。

本願商標及び引用A商標からは、その各構成に照らして、それぞれ「バートン」及び「バードン」の称呼が極めて自然に生ずることは明らかである。

右各称呼を対比するに、「バ」とその長音符とをそれぞれ一音と解すると、両者は、いずれも四音からなり、第三音において「ト」と「ド」の差異があるほかは、他の音はすべて同一である。そして、右の「ト」と「ド」とは、それぞれ清音と濁音との違いであるに過ぎず、また、これらを普通に称呼するときは、第一音の「バ」にアクセントがあり、「ト」又は「ド」は、「バ」と対比すると相対的にやや弱く発音するのが自然であり、これをとりわけ強く(アクセントをつけて)発音するような特段の事情もない。

そうしてみると、両商標を右のとおり称呼するときは、各称呼は互いに相紛らわしく、両者聞き誤まるおそれが大であるというべきであり、両商標は称呼において類似する商標というほかはない。

なお、本願商標と引用A商標とは、このほかに、アルフアベツトの綴りの上でそれぞれ「……UR……」及び「……AR……」の差異があるけれども、我が国においては、通常右のとおり称呼する以上、右各綴りに対応する称呼は同一というべきものであり、右綴り上の差異に応じて常にその称呼を異にするような特段の事情はうかがえない。

また、本願商標から、「マルバートン」「ダエンバートン」の称呼が生ずるとしても、前述のとおり「バートン」の称呼が極めて自然に生ずることは明らかであるから、このことは、前記の判断を左右しない。

2 本願商標が、前述のとおり引用A商標と称呼において類似するものである以上、その称呼上の類似にもかかわらず、なお自他商品の識別力を有しうるような特段の事情を認めることのできない本件においては、観念上又は外観上の類否について判断するまでもなく、本願商標と引用A商標とは類似の商標であるというべきである。

原告は、外観、観念において顕著な差異がある場合には、称呼の類似の点は考慮外におかれるべきである旨の主張をするが、商品の取引者、需要者は、その商品に付された商標について、必ずしも視覚によつて現認したところから商品の出所を判断して取引に当る場合ばかりでなく、当該商標の称呼のみによつて商品の出所を判断し取引に当る場合も決して少なくないのであるから、右主張は当らない。

なお、原告は、本願商標を付した指定商品には、その製造元である「バートン・マニユフアクチユアリング・カンパニー・インコーポレイテツド」の会社名も併記して流通におかれるから、この表示と相まつて商品の出所が明らかにされる旨の主張をする。しかし、商標の使用は、これと他の表示とを一体不可分的にされなければならないものでないことはいうまでもないところであり、したがつて、商標の類否は、その指定商品との関係において判断することを要し、かつ、それをもつて足りるのであつて、たまたまその商標が、その構成とは別個の他の表示と共に使用されることがあるとしても、そのようなことを考慮にいれて判断すべきものでないことは明らかである。原告の右の主張は、自他商品の識別力に関する前記特段の事情に当らない。

3 なお、本願商標と引用商標との各指定商品についてみるに、少なくとも本願商標の指定商品であるキヤデイバツグは、引用A商標の指定商品たる運動遊戯具に包含されるものと解される(商標法施行規則別表第二四類の運動具参照)。

4 そうすると、本願商標と引用A商標とは、商標において類似し、かつ、その指定商品においても同一又は類似するものであるとした審決の判断に誤りはなく、原告主張の審決の取消事由は、その余の点にわたり判断をするまでもなく、すべて理由がない。

三 よつて、本件審決の違法を理由にその取消を求める原告の本訴請求を失当として棄却することとする。

〔編註〕本件に関する商標は左のとおりである。

(一)(本願商標)

<省略>

(二)(引用A商標)

<省略>

(三)(引用B商標)

<省略>

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